4月から、小学校で「道徳」が教科となりました。教科書の教訓について、模範解答を引き出すような授業は、子どもたちにとっては辛い時間いなるかもしれません。
ある学校の4年生の授業です。
韓国で開かれた平昌オリンピックのスピードスケート女子500メートルの映像が、クラスにある大型テレビに映し出されます。
小平選手が36秒94の五輪新記録を出すと会場は大歓声に包まれました。しかし、小平選手はリンクを滑りながら、観客席に向かって人差し指を口元にあて、静かにするように促しました。次にスタートする韓国のィサンファ選手らが準備中だったのです。
ィ選手は小平選手の長年のライバルです。この種目でバンクーバー、ソチ五輪と2大会連続の金メダルと、世界記録も持っています。しかし、0秒39差で銀メダルに終わりました。
小平選手は、泣きじゃくるリ選手の肩を抱き「たくさんのプレッシャーの中でよくやったね」と語りかけました。リ選手も「あなたが誇らしい」と応じました。切磋琢磨して、尊敬し合う2人のやりとりは、多くの人の心を打ちました。
国際大会で対戦し続けてきた2人は、ライバルであると同時に友人でもありました。母国語を教え合い、一緒に食事に行く仲です。2人はお互いについてこう語ります。
「彼女から力をもらって次のステップに進める機会は何度もあった」(小平選手)
「特別な友人。ライバルであることが私の記録を伸ばしてきた」(リ選手)
「スケートに対して素晴らしい思いを持っていて、たくさん彼女から学んできた。サン ファの気持ちに寄り添っていたいなと思った」(小平選手)
ここからが、子どもたちの出番です。
「みんなで考えよう!」と先生が5つの「問い」を与えます。
①小平選手は金メダルをもらって、もっと喜んでいいのではないか。
②小平選手とリ選手のやりとりを読み、どんなことを感じたか。
③「リ選手から力をもらった」とは、どういう意味なのだろう。
④「ライバルであることが私の記録を伸ばした」とは、どういう意味なのだろう。
⑤「ライバル」って、何?
平昌オリンピックを見た子どもたちは多いので、こういった日々のニュースは、子どもたちの興味関心を引き出しやすいですね。この5つの「問い」だけでも、子どもたちのたくさんの答えが引き出されることでしょう。
先生もアクティブラーニングを「道徳」の教科なら、やり易いかもしれませんね。「道徳」の時間が、子どもたちの無限大の引き出しを開けるきっかけになればうれしいですね。