ノーベル賞ではなく、「反対の」という意味のイグ・ノーベル賞をご存知ですか。ユーモアあふれる研究に贈られる米国の賞ですが、2007年から11年連続で日本人が受賞しているそうです。
パンダのふんのバクテリアで生ごみを減らす研究(生物学)
眠っている人を起こす、わさび警報装置の開発(化学)
おしゃべりを邪魔する「スピーチジャマー」の研究(音響学)
玉ねぎを切ると涙が出る仕組みの研究(化学)
バナナの皮を踏んだ時の滑りやすさを研究(物理学)
キスによるアレルギー反応の軽減を研究(医学)
などなど・・・ユーモアのセンスがいっぱいの研究ですね。
授賞式は毎年秋に、米ハーバード大学で開かれます。賞金なしで、授賞式に参加する旅費や滞在費も自己負担だそうです。トロフィーは手作りのため毎年違っており、授賞式に出席しなければもらえないそうです。
私のサラリーマン時代の職場に、「私にとっての最大の誉め言葉は、『ちょっと変わっているね』『変な人だね』と言われることです」と豪語する女性がいました。若い頃には女優を目指していたそうで、「ストーリーに必然性があれば脱ぎます」とも語る、かなり変わった女性です。
2017年のイグ・ノーベル賞を受賞した北海道大学の吉澤教授(昆虫形態学)は、「日本の研究者にとって、奇人や変人という評価は一種の誉め言葉。社会が寛容で、ある程度は自由に研究できる素地があるから・・・」と語ります。
こんな風に言える人生も、また楽しい生き方かもしれませんね。
しかし、イグ・ノーベル賞を受賞した研究は、実際には本格的な科学研究が多いそうです。バナナの皮を踏んだ時の滑りやすさの研究からは、人工関節の性能向上につながり、玉ねぎを切ると涙が出る仕組みの研究からは、涙が出ない玉ねぎをつくる研究に役立っているそうです。
まじめにコツコツと研究することに、ユーモアのセンスを隠し味でくわえることで、世の中に役立つ研究につながっているのです。
研究者ではない私たちにも、ユーモアのセンスは大いに役立ちますね。(笑)