保育園では、電車に関わることには、とても敏感で大人顔負けの情報収集力を持つ園児が数人います。今回の新幹線のぞみ号の、あわや脱線事故の大惨事につながったかもしれない台車枠の亀裂の対応は、ホワイトきゃんばすの電車通園児の耳にも入ります。
子どもたちとは、マイナスの話ではなく、のぞみ号に使われるN-700系の話で盛り上がります。あの「カモノハシ」をイメージした先頭車両の姿は、風の抵抗を一番少なくする設計と言われています。
ルーマニアの駅では、列車が10分遅れでホームに到着した瞬間、乗客から拍手が起こると言います。ルーマニアでは、1時間や2時間、列車が遅れるのは日常茶飯事だからです。時刻表通りに、ピタリとホームに到着する日本の電車は、世界では類がありません。東京オリンピックの誘致の時でもアピールされました。
その時間厳守がもたらした大事故を私たちは忘れることができません。
JR福知山線の脱線事故の朝に、私は出張で神戸の会議に出ていました。この事故の原因は、『1分半』という遅れを取り戻そうと、運転士は速度を出しすぎ、カーブでの大惨事につながったのです。今回ののぞみ号の事故についても、時間厳守の意識が原因ではないかとも言われています。
「時間厳守」という言葉は、一般的にはプラスの響きがありますが、命にかかわる時には、優先順位は1番ではありません。それから、心に少し余裕を持ちたい・・・リラックスしたい・・・という時には、意識したくない言葉ですね。
ところで、平均遅延時間36秒というのは、何の数字だと思いますか?
東海道新幹線の年間平均の遅延時間です。この中には、天候による遅延もすべて含まれています。また、到着時刻よりも早く着くわけには行きませんので、「今日は3分早く着いて、平均遅延時間を取りもどそう」はできませんね。こう考えると、ほとんどの列車が、定時通りピシャリと運行しているのです。
ダイヤグラムという表をご存知ですか。たてに駅名・よこに時間を記して、電車1本ずつの運行を線であらわした表なのですが、東海道新幹線は、超過密運行ですので、ダイヤグラムも線でびっしりです。それにもかかわらず、「時間厳守」があたりまえというから、何とも凄いことなのです。
時間は、私たちに平等に与えられたモノです。世界中の人間にも動物にも、一日は24時間と決まっています。でも、この時間を使いこなす方法は、人によってまちまちです。「時間厳守」のときも「時を忘れる」ときも、両方が大切ですね。そのバランスが難しいのですが・・・