組み体操

組み体操と言えば、私たちの小中学校時代では、運動会のトリを飾る花形競技でした。組み体操は個人の勝ち負けを争うものではありません。チームが1つになって、1つの目標に向かって協力をする姿や、本番での結果だけでなく、練習から本番に至るストーリーが、子どもたちの成長に大きな影響を与える競技でもありました。

 

ピラミッドの頂上に立つ、身のこなしの軽い生徒が、見た目には華やかに映りますが、それを支える一番下の縁の下の力持ちの存在まで、すべての力が結集されて、美しいピラミッドが完成することを誰もが知っています。なんだか、よのなかの縮図を見ているような・・・それが、組み体操の魅力ですね。

 

しかし、組み体操を取り巻く環境が大きく変わりました。相次ぐ事故の発生が原因です。

 

平成6年の福岡高裁では、体育の時間でのピラミッドの練習中に、最下段中央部の生徒が下敷きとなって傷害を負い、校長と指導教諭らの責任を認める判決となりました。

 

「指導教諭らがずさんな計画を策定し、その計画を管理職が承認したことに過失あり」

「前年度では、7段ピラミッドに2度挑戦し、2度とも失敗したにもかかわらず、その原因の分析や調査がないまま前年よりも一段高い8段ピラミッドを設定したこと」

「多くの補助員を動員し、崩壊の危険性を少しでも緩和する等の対策を講じていなかった」

 

などが、判決の理由だそうです。裁判にならなくとも、事故が全国で多発したことを受け、スポーツ庁から事故防止の通知も出され、各自治体や教育委員会が、組み体操の自粛へ走ったというのが、現在の状況です。

 

昨年、卒園児の運動会を見学しましたが、「事故の危険が少ない組み体操&魅せるパフォーマンス」を組み合わせたソフト路線に、組み体操が変わっていました。

 

さて、ここまで組み体操のマイナス的な内容を書きながら・・・今年のホワイトきゃんばすの運動会には、新たな種目として「組み体操」を行います。年長、年中園児だけの競技となりますが、最後は、ピラミッドにも挑戦します。

 

安心してください。1段目の上に2段目は乗りません。手を置きます。その上に、3段目の園児が一人乗ります。ピラミッドのイメージとは程遠い、3段ピラミッドですが、今年の取組みは、見栄えではなく、組み体操の本来の趣旨に合わせて、子どもたちの成長を促すことが目標です。

 

今日の練習では、まだ、二人一組のパフォーマンスまでです。「小石が手にあたって痛い!」「〇〇くん重い!」など・・・ぶつぶつ言いながらも、子どもたちは頑張っています。大切なのは、本番での完成度よりも、練習の過程です。