飛ばないてんとう虫

屋上ファームの夏野菜も、収穫のピークが終わりつつあります。今元気なのは、9月に子どもたちが芋掘りをする「さつまいも」です。そんなファームは、もちろん無農薬ですので、「あらゆる虫さんウエルカム」状態です。

 

しかし、農家の方々にとっては、農作物が害虫の被害にあうのは、死活問題です。「無農薬・低農薬」などを付加価値としたいところですが、限界もあり、やむなく農薬を使用せざるを得ません。そんな中、天敵農法が、今、注目を集めているようです。「目には目を歯には歯を・・・」「虫には虫を」といったところです。(笑)

 

飛ばないてんとう虫が、販売されているのはご存知ですか。飛ぶ能力の低いてんとう虫のペアを何度も掛け合わせて、遺伝的に飛べないてんとう虫が、生物農薬として、2014年から市販されているそうです。

 

てんとう虫といえば、アブラムシの天敵です。しかし、飛ぶてんとう虫では、どこかに飛んでいってしまうので、生物農薬とはならないのです。現在、日本国内では、約20種類以上の虫が、生物農薬として登録、販売されているそうです。

 

しかし、ここまで読んで、「これでは生態系のバランスが崩れるのでは?」と思った人もいるでしょう。専門家によると、生物農薬の登録には、国の審査を受け、承認を受ける必要があり、生態系を脅かす恐れがあれば認められないと言います。

 

飛べないてんとう虫の開発者は、「アリにも捕まえられるくらい弱い。エサになる害虫が多い、農作物の栽培地以外では生存競争を勝ち抜けない」と話します。生態系に配慮する必要はあるでしょうが、「農薬漬け」の野菜を食べることの方が、子どもたちの成長には、心配な要素が多くなりますね。

 

スーパーの店頭に並んでいる野菜の付加価値をアピールするコピーは、「無農薬の」「有機栽培の」「生産者の顔が見える」「朝採れ新鮮野菜」などが多いですが、これからは、「飛ばないてんとう虫の力でおいしくなった〇〇」というコピーも出てくるかもしれませんね。

 

「なんだ・・・こりゃ・・・」とお客様が立ち止まることは間違いなしです。(笑)