「STOPit」(ストップイット)は、教育機関向けのソフトとしては「いじめ匿名報告アプリ」という形で活用されています。千葉県柏市の教育委員会が、本年度、全中学生を対象に同アプリの配布を決めました。いじめ問題でこれまで重視されてこなかった「傍観者」についての対策の手法として活用されます。
このアプリは、チャット形式でのメッセージのやり取りや画像送信が可能で、発信者の情報は学校名と学年のみの匿名の形で、いじめの情報を市の教育員会に伝えられる。 生徒から送信があると、市教委内の2部署、いじめ・非行担当部署と少年補導センターに通知が届くそうです。
担当者は「通知があれば必ずその生徒に返信します。たとえば、学校に連絡してもよいかなどを生徒とやり取りし、慎重に対応していきます」と話します。必要なら学校・市教委・生徒の三者で相談の場を設けるそうです。
また、柏市ではいじめを見ても動かない「傍観者」に焦点を当てた約10分間の映像教材を使って、道徳の時間など50分の授業を行っています。
映像の内容は、友達がクラス内でいじめをしていると知った主人公が、やめるように声をあげるか否かを悩む。そこで画面が一度暗くなり、「あなたならどうするか」と実際に教室の生徒たちに問いかける。「動画を見ていた生徒たちが、いきなりその動画内のいじめについて自分で考えることになります。傍観者から当事者へという状況になり、深く議論する」という流れだそうです。
いじめ傍観者は、見ないふりをやりたくてしているのではなく、アクションを起こすと自分がいじめの対象になるので一概には責められません。しかし、「STOPit」(ストップイット)を活用することで、脱傍観者となることへ導きます。柏市の担当者はこう言います。「アプリはいじめの抑止力として期待しており、同時にいじめが起きる雰囲気をつくらないようにする教育も行う」
さて、みなさん、もうお気づきですね。「抑止力」という言葉・・・まるで、世界の大国が「核」を持つことで、大きな戦争につながらない「抑止力」と同じです。
今までいかなる手段を使っても、いじめがなくならない現実を考えれば、「抑止力」も必要・・・という考えもありますし、他の手段はないものか・・・と考える人もあるでしょう。
今までのいじめ問題は、「いじめられる」「いじめる」の当事者同士での解決策を模索してきたことを考えれば、「傍観者」を動かすことは、有効なのかもしれません。複雑な気持ちになるでしょうが、じっくりと考えてみませんか。