時代の流れで、便利になったものはたくさんありますが、ここ数年で、かなりのスピードで変化したのが、電話で会話をすることから、SNSでのコミュニケーションでしょう。
私の長女が、いま新入社員研修で悪戦苦闘していますが、新入社員が苦手な事の一つが「はい、〇〇社でございます」「少々お待ちください」の電話対応です。
「今どきの若者のコミュニケーションは、スマホのSNSで短文でやりとりする形がほとんど。社会人とのかかわりも少なく、就職してビジネス電話への対応を求められ、戸惑ってしまう」と研修担当者はコメントします。
実際に、「大学生のライフスタイル調査」によると、大学4年生に友人との主なコミュニケーションツールを1つ尋ねたところ、無料通話アプリ「LINE」が88%と圧倒的だったのに対し、電話は1%強にとどまったそうです。
都内で就活中の大学4年生の女性は、「電話をかけるのは月に1、2回。美容室の予約や宅配便の再配達依頼ぐらい。スマホに電話がかかってきても、未登録の番号には出ない」と言います。
もう30年も前の話ですが、私の新入社員の頃には、携帯電話などありませんので、すべてが固定電話での通話コミュニケーションです。優秀な先輩の仕事スキルを学ぶのは、もっぱら電話応対で、どんな会話を相手としているかです。丁寧な言葉づかいだけでなく、アポの取り方、間の取り方、クレーム対応などなど、先輩が電話で会話をしている時は、耳がダンボでした。(笑)
そして、失敗を恐れずに、なるべく多くの電話に出ることで、経験を積むしかなかったですね。やがて、仕事の中でもメールでのやりとりが中心になりました。しかし、日時や数字などのデータ確認は、メールで済ませることが多くても、肝心な内容は、直接電話をしたものです。この、メールで済ます内容と電話で話をしなければいけない内容の線引きが上手にできる人が、仕事ができると言われたものです。
今の時代、社内だけでなく、社外との連絡でも、ほとんどメールを使うようになり、電話でのやりとりは激減しています。逆に言えば、電話での応対は、クレーム対応や、メールでは失礼にあたる取引先への謝罪など、言葉遣いや対応を間違えれば、思わぬトラブルを引き起こしかねない高度な技能が求められるのです。
ここらへんの電話対応は、人工知能ではできませんね。新入社員にとっては、初めて経験することが多い電話対応ですが、これも数をこなして、経験で乗り切っていくしかありません。マニュアルなどはありません。自分で考えるのです。
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