国際バカロレアへの挑戦

昨日は、イエナプラン(オランダで行われている異年齢をベースにした教育)の勉強会に出席しました。午前中で終わり、昼ごはんを食べながら、若き小学校教員の新たな挑戦の話を聞きました。

 

悩める27歳の男性教員・・・彼は、大学を卒業して志望する小学校教員となります。しかし、彼が考える理想の教師とその学校の現実とのギャップに悩みます。彼が取り組む授業内容が、ことごとく否定されるのです。

 

そして、彼は、2年後に思い切って海外へ・・・2年間タイで教員補助を行い、その後、オランダでイエナプラン校の授業内容を学びます。そして、再び日本での教員生活に戻ります。新人教員の時のように、ただやりたい事を貫くのではなく、時には、現実に妥協し、学校組織の中で、ほんの少しだけ、自分色の授業ができるようになってきました。

 

しかし、彼は、そんなに器用な人間ではなく、常に「こんな教育がいいわけながい!しかし、自分でやれることはここまでかもしれない」と葛藤の日々を送ります。そんな彼が、目指したのが「国際バカロレア」です。

 

見事に採用試験に合格し、茨城県守谷市にある「開智望(かいちのぞみ)小学校」で、この4月から働くことになりました。この小学校では、「国際バカロレア」の初等教育(小学校)の内容を実践します。

 

「国際バカロレア」とは、スイスのジュネーブで設立された教育プログラムです。1つの国の制度や内容に偏らない世界共通の大学入学資格及び成績証明書を与えるプログラムとして開発され、世界的にその目的は、平和な世界を築くために貢献する人材育成と認められています。

 

日本でも、文部科学省が、グローバルな人材育成の観点から、「国際バカロレア」の普及と拡大を推進しています。例えば、大学入試試験の歴史では、日本のように、年号や人物の暗記が伴う内容ではなく、「第1次世界大戦における中央集権、もしくは第2次世界大戦における日独伊の枢軸国の政権が敗北した主な原因を述べなさい」といった論述問題となります。

 

つまり「どうしてそうなったのか?」「あなたならどう考える?」という、「自分で考えて自分で答えを出す」教育アプローチなのです。

 

現在彼は、「国際バカロレア」の初等教育にあたる「PYPプログラム」を猛勉強中です。テキストを見せてもらいましたが、今までの「教師が子どもたちに知識を教える」というものではなく、「子どもたちが持つ力をいかに引き出すか」という内容です。

 

彼が、採用された理由は、海外での経験だけでなく、今の日本の教育に対して、自分なりの問題意識を持っていることだと感じました。彼の新たな挑戦に大きなエールを送りたいですね。今後も、イエナプランの勉強会を通じて、彼の「国際バカロレア」の話が聞けることを楽しみにしています。