学校とは全く違う世界の話をします。私が民間企業で働いていた業界の話です。戦争が終わり、昭和39年に東京オリンピックが開催されると決まると、日本の昭和30年代40年代は、高度成長期と言われ、世界でも例を見ない経済成長を遂げていきます。
流通業界は、ダイエーが、「チェーンストアオペレーション」という手法を使って、国民の消費もずっと右肩上がりで成長しました。全国どの店でも、本部で決めたオペレーションを徹底することで、効率化を図り、コストを削減しながら、どんどん店舗が増えていったのです。隣の家がカラーテレビを買えば同じようにカラーテレビを買い、冷蔵庫、洗濯機も、「〇〇さんちで買ったみたいよ・・・うちも買わなくちゃ」で、同じような商品が次々に売れた時代でもありました。
そして、日本の教育もすべての子どもたちが、義務教育というシステムの中で、一定の教育を受けることができ、一定の学力を身につけることができました。その手法は、学校版チェーンストアオペレーションというべき、一人の先生が、多くの子どもたちを効率よく勉強を教えるために、黒板に立ち、教科書と言う共通のツールを使って、一方通行の授業をします。
優秀な子どもにターゲットを当てると、多くの落ちこぼれを発生させてしまい、また、理解の遅い子どもにターゲットを当てると、計画通りに授業が進まないばかりではなく、優秀な子どもがやる気をなくします。
そこで、ターゲットは「真ん中」「平均」ということになります。それでも、優秀な子どもは、もの足りなさを感じ、理解の遅い子どもは、授業についていけません。ここらへんから、だんだんと「勉強がおもしろくない」という子どもたちが、出てきたのかもしれません。
さて、チェーンストアオペレーションは、今はどうなったでしょうか。時代が変わり、私たちが求める「しあわせ」は、モノがたくさんあればいいということではなく、どんな生き方をしたいか・・・モノをどのように活用すれば楽しいか・・・といった、モノからコトへ変わっていきました。そして、「みんなと一緒が安心」から「自分だけのこだわり」を大切にするようになったのです。
こうなると、「あの店は、どこでもある商品を同じような売り方をしているでつまらない」となり、流通業界におけるチェーンストアオペレーションは終焉を迎えるのです。
学校版のチェーンストアオペレーションは、どうなったでしょうか。教科書と言う絶対のツールを使い、「平均」をターゲットにした、黒板に先生が立って教える授業は、やはり限界を迎えます。今、教育界の流行語大賞ともいえる「アクティブラーニング」の手法が広がってきました。
つまり、子どもたち自身が、自分で考えて、他者との違いを理解し、ただ聞いているだけでの一方通行授業ではなく、自ら意見する授業に変わってきています。
流通業界のチェーンストアオペレーションは、今の時代では、「売れない」ことから多くのロスを発生し、効率をさらに悪くします。個々の店の特徴を生かし、その店を担当するキーマンが自由に展開できる、お客様から支持をされた店だけが生き残ることができるのです。
教育業界も、今までのやり方は、逆に効率を悪くするばかりか、子どもたちの「学び」にブレーキをかけることにもつながっているのかもしれません。
どうですか、少しづつですが、子どもが勉強を嫌いになる時が、どんな場面か見えてきたような気がしませんか・・・
つづきは、明日・・・
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