文部科学省の全国学力・学習状況調査(学力テスト)で、ここ数年、最上位県に名前を連ねる秋田県の中でもトップクラスの成績を維持する東成瀬村。秋田市から約100キロ、人口約2800人の小さな村が「学力日本一の村」として注目され、国内外からの見学や視察が絶えないそうです。
この村には、小学校と中学校は1校ずつしかありません。児童生徒数は、合わせても200人程度です。こんな少ない人数だから学力も伸ばせるんだ・・・と思う人もいるでしょうが、教職員も少ないので、どうも違う理由があるようです。
東成瀬村の鶴飼教育長は、当たり前のことを当たり前にやるだけで、「決め球」はありませんと言います。その、東成瀬村の当たり前のことをいくつか挙げてみます。
小中学ともに、子どもたちは毎日多くの文章を書くそうです。それは、毎日の「自学ノート」があるからです。自分で学習内容と学習時間を決め、自分なりにノートに書き込むそうです。先生が勉強の指示を出すのでなく、子どもたちが、自ら課題を考えるというのがねらいです。
次に、毎朝の読書を続けているそうです。全国的には、朝読書は減る傾向だそうですが、ここでは、今も大切な時間と位置付けられ、中学校は、読書は週に3回で、他はミニ討論会や新聞のコラムを写して自分の意見を書く時間などに充てているそうです。
どうですか、昨日ブログで、日本の15歳の読解力が下がったという内容を紹介しましたが、東成瀬村の当たり前の事は、読解力だけでなく、自分の意見をきちんと言える生徒が多いことです。
また、授業参観は保護者だけでなく、地域の人も顔を出しているので、参加率は120%だそうです。子どもの数より、参観する大人の数の方が多いようです。3世代同居が多いので、祖父母のための授業参観も行うそうです。
この村の教職員は、保護者や地域の人たちに対して「営業マンとして学校を説明する役割」が、当たり前に求められるそうです。
これらの取組みのベースは、「小中連携教育」です。もちろん、同じ敷地内に小学校と中学校があるわけではないので、小中一貫校ではありません。教育長は、「小中一貫」とかの教育は「ハコモノ」をつくってその中に子どもを入れるだけではだめです。頑張る子どもたちがいて、熱意のある教職員がいて、学校を理解してくれる保護者、行事に参加してくれる地域の人たち、そして、条件整備をする行政の5つの要素がうまくいってこそ成り立つと言います。
もちろん、この東成瀬村のやり方が、日本のすべての地域の小中学校の教育にあてはまる
ものではないでしょう。しかし「私の学校での、子どもたちのための当たり前のこと」を作りあげる必要がありますね。当たり前のことは、継続しなければならないことでもあります。
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