営業係数

今日は、電車大好きの5歳男の子が、「園長先生・・・12月9日に、『ごわさん』が、最後でなくなっちゃんだよ」と言ってきました。

 

『ごわさん』とは、583系という車両のことで、鉄道ファンが呼ぶ愛称です。12月9日金曜日に青森を16:53に出発する、「わくわくドリーム号」は、翌日7:27に舞浜に到着します。東京ディズニーランドでまるまる1日遊んで、夜の23:04分に舞浜を出発し、翌日16:53に青森に到着する、東京ディズニーランドを楽しむ観光臨時列車です。

 

青森など東北の人が、東京を楽しむツアーにもかかわらず、583系のラストランということで、ほとんどの客が、全国からこの列車に乗ることを目的としているようです。

 

この583系は、JRがまだ国鉄時代に作られた車両で、寝台列車です。有名なブルートレインは電気機関車がけん引する客車ですが、583系は電車式の寝台列車です。鉄道ファンの中では、人気が高い車両なのです。

 

5歳男の子が、こんなコアな情報をどうやって仕入れたのか・・・子どもは、興味を持ったことには、とことん追求するものですね。

 

さて、「さよなら」と言えば、北海道の留萌(るもい)線の、増毛(ましけ)⇔留萌の区間が、12月4日をもって廃線となりました。増毛駅は、故高倉健さんが主演した「駅STATION」の舞台となった駅ですので、鉄道ファンだけでなく、愛着がある人が多いかもしれません。

 

この路線は、大正10年に開業したので、95年の歴史に幕がおろされます。かつては、ニシン漁で賑わった港町も、今は過疎化が進み、今回の廃線となったのです。私も、学生の時に、近くの羽幌(はぼろ)港から船に乗って、オロロンと泣く、ウミガラス「オロロン鳥」を見たくて、天売(てうり)島を旅したことを懐かしく思い出します。

 

さて、「営業係数」という言葉をご存知ですか。これは、各鉄道会社や路線が100円を稼ぐための費用です。ちなみに、この増毛⇔留萌の区間は、100円稼ぐための費用が2538円もかかり、JR北海道の中では最も悪い数字だそうです。そして、1キロあたりの平均輸送人員はたったの67人ですので、ソロバン上では、とっくに廃止という計算でした。

 

ドル箱路線と言われる、東海道新幹線の営業係数は、約60円ですから、超黒字路線です。リニアモーターカーの建設費用も国の予算でなく、JR東海でやりくりできるのも納得がいきますね。

 

こうして、地方の路線が廃線に追い込まれることを悲しみ、やむなしと言うのは簡単ですが、大きく言えば、日本が抱える大きな問題です。考えなければならないことですね。