自動販売機

飲料水などの自動販売機は、今や私たちの生活には欠かせないものになっていますね。町中に、これほどの自動販売機がある国は、日本以外にはほとんどありません。

 

日本で、自販機がこれほど普及した背景には、温度管理などの技術革新や、治安が良く破壊や盗難が少ないこと。そして、何よりルート担当者の勤勉な働きぶりがあるからです。夏に、キンキンに冷えた炭酸飲料や冬にアツアツの缶コーヒーを24時間手軽に購入できるのです。

 

そして、企業側の論理として、最大の理由があります。かつて、私がビジネスマン時代に、マーケティングの社外研修を受けさせてもらったのですが、「各飲料メーカーが、自動販売機の好立地獲得にしのぎを削るのは、値引き販売がないので、利益率が高い」と勉強しました。

 

ペットボトルの自販機の通常価格は、税込み160円ですね。それに対して、スーパーの店内価格は、税込みでも100円を切る商品が普通です。コンビニで購入しても自販機よりは、安く購入できますね。つまり、自販機での売上が高ければ高いほど、儲かるという計算です。

 

飲料部門の売上では、業界6位のダイドードリンコは、自販機での売上構成比が70%という、異色のビジネスモデルの会社です。コカ・コーラグループの自販機を多く見ますが、ダイドーの「スロットの数字がそろったら1本おまけ」の自販機もよく見かけますね。

 

しかし、自販機の売上構成比が高いので、利益が出る構造と単純には喜べないのは、自販機での売上が落ち込んでいるからです。消費者は、スーパーや量販店で買った方が価格は安いことを知っています。また、コンビニだったら24時間買えるし、何といっても、主力の缶コーヒーの売上が、コンビニレジ横の入れたてコーヒー戦争で激減しているそうです。

 

そこで、ダイドーが目指すのは、自販機のイノベーションです。例えば、スマートホンと通信する自動販売機や子ども向けのアプリと連携したり、中国語・韓国語・英語で「接客」する自動販売機など、自販機の付加価値をあげようという作戦です。

 

子どもたちにとっては、ただモノを買うだけでなく、楽しいプラスαが、「この自販機で買いたい!」と親を巻き込んでいくのかもしれませんね。個人的には、ひそかに注目しているのです。