馬込三寸ニンジン、三河町枝豆、滝野川ゴボウ、大蔵大根・・・なんだかわかりますか。これらは、江戸時代から昭和の初めにかけて東京周辺で伝統的に生産されていた「江戸東京野菜」だそうです。
野菜本来の豊かな風味や個性をもった野菜です。私の琴線にビンビンに触れてきます。しかし、これらの野菜は戦後の高度成長による農地転用や、規格生産のための交配種(F1品種)の普及によって多くが絶滅の危機にひんしてしまった在来品種です。
東京都立瑞穂農芸高校では、3年前から江戸東京野菜を栽培するだけでなく、生徒が中心となってその魅力を生かした商品開発に挑戦しています。
江戸東京野菜の一つ「内藤トウガラシ」を使った七味唐辛子を開発しました。瑞穂町特産の「東京狭山茶」と「トマト」を加えたブレンドで、プロの方や地域住民に試食してもらい、連日の試行錯誤で「瑞穂七色唐辛子」が完成しました。生徒が命名し、デザインしたラベルを貼った商品は、同町の「みずほブランド」にも正式に認定されて、地元の直売店や飲食店で販売されるそうです。
最近よく言われる6次産業化とは、生産(1次)商品化(2次)販売(3次)の合計で6次ということですが、高校生が、野菜を作って商品化して販売ルートに乗せるまでのことにかかわることは、大きな社会体験ですね。
生徒の中には、「野菜本来のおいしさを子どもたちに伝えたい」と管理栄養士になって食育に携わる仕事を志す者や、非農家ながら数年後の起業を目指して準備を進めている者もいるそうです。
明日の日本の農業を救い、大きく変革する人材が期待できますね。
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