中学2年の時から、ずっと北島康介選手をコーチとして見守った男が、平井伯昌(のりまさ)コーチです。
「ずっと日本のトップで世界のトップで、誰もが憧れる選手になってくれた。速くて、強くて、人の面倒見もいい。年齢的に、練習では1番苦しいはずなのに、1番楽しそうに練習をしてくれた。すごい選手になってくれた」と、リオオリンピックの代表を逃し、引退を表明した北島選手に涙を流して語ります。
平井レーシングチームとして、北島選手はじめ、中村礼子、寺川綾、松田丈志選手など歴代のメダリストを指導してきました。そして、リオ五輪で金メダルが期待できる萩野選手も平井レーシングチームです。
「コーチングとは、選手の夢を現実にさせてあげるための作業であって、選手に練習をさせて、頑張らせて速くするものではないんです」と平井コーチは語ります。
「五輪に出てメダルを取るという選手たちの目標は決まっています。それらの「答え」を求めるための「式」、方程式みたいなものを一緒になって見つけてあげるのがコーチングではないか・・・」
「最初は、「式」を選手に提示してあげることが多いけど、北島康介のように、コーチのいらない選手になってもらえれば理想です。彼は、自分で「式」を見つけて、直していけることができる、初めての選手です」
平井コーチの言葉からは、「式」は、選手によっても違うし、同じ選手でも変化する状況の中で、最終的には、選手自身でそれに気がつき、「式」を作り、「答え」を解いていけるように、一緒に考えるのが、今のコーチングのあり方であることが、うかがえます。
「よ~し!100メートルメドレーをあと3セットだ」と選手に気合を入れるようなコーチ像は、今では時代遅れなのかもしれませんね。
私も、子どもの頃、セントラルスイミングスクールに通い、小学校6年の時ですが、当時住んでいた埼玉県新座市の50メートル平泳ぎの決勝に残ったものの、9人中6位という、なんとも中途半端な自慢できない(笑)記録が残っています。当時の練習は、技術的なことよりも、ひたすら泳ぎ込む練習でした。練習が終わると「腹ペコ」の記憶が今でも残っています。
平井コーチのコーチング理論・・・なんだか、子育てにも当てはまるようですね。「これしなさい。あれやりなさい。」ではなくて、子どもがやりたいことを親が一緒に考える。そして、最後は、子どもが自分で考えるように、見守っていく。
コーチングも子育ても、「教える」だけではなくて、「一緒に考え、引き出す」事が大切ということですね。深い深いテーマです。
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