全国の中学生と高校生の科学研究を対象とした「第59回日本学生科学大賞」で、最高の内閣総理大臣賞を高校の部で獲得した、三重県伊勢高校2年の矢口太一さんの研究は、セミです。
セミには4枚の羽があり、飛び上がる時に「後翅(こうし)」と呼ばれる後ろ側の2枚の羽が、飛ぶ向きを調整するハンドルのような役割を果たすこと解き明かした研究発表です。
この夏の保育園のイベントで「ナイトツアー」を行ったのですが、そこで子どもたちは、セミの羽化シーンを見ることができました。それも、何十羽ものセミです。セミの幼虫が、のっそりと木を駆け上るところも目にしました。ちょうど、満月に、真っ白なセミが映えたシーンは、子どもたちだけでなく、保護者も大感動のシーンでした。
矢田太一さんは、小学校6年の夏、セミ捕りをしていた時、逃げ足の速いものと、すぐに捕まえられるものがいることを不思議に思ったそうです。彼の「なぜ?」にヒントを与えたのが、エンジニアの父だそうです。
「セミの重さと羽にかかる力の関係は、きれいな直線のグラフで示せました。生物で起きていることなのに、物理の教科書に書いてあるような規則性が面白かった。」と語ります。ハイスピードカメラの撮影で、「セミは幹から離れた直後、後翅を『ハンドル』のように使って、空中で方向転換することがわかった」そうです。
彼の志は、ただ面白かったでなく、社会に生かせる研究を今後はやっていきたいということです。
私は、一人、セミの羽化シーンを思い出しながら、こんな若者にエールを送るのです。
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