少し前の数字ですが、2009年の資料によると、15歳生徒の回答で「先生の言うことを聞いていない」と答えたのは、日本では10%未満だそうです。これは、世界の中で、日本の生徒は一番先生の話を聞いているという結果です。対照的に、フランスでは、35%以上の生徒が聞いていないと答えています。
この結果を「さすが日本の生徒は優秀だ!」と思う人もいるでしょうが、ある教育社会学者が、こんな警鐘を鳴らしています。
「日本では、学校の秩序が保たれている。教師の言うことを聞かない生徒は少数である。しかしながら、教師と良好な関係にある生徒の割合は世界で最も低い。学校的な行動様式に適応しているように見えつつも、それは内面からの同調を伴っていない『儀礼的』なものであることがうかがわれる。勉強して立身出世しようとは思わない、うっとうしい教師の言うことなど本当は聞きたくないが、成績に響いたり退学になったりすると困る、学校を出ていないと落後者の烙印を押されてしまう。こうした不安(脅迫)に突き動かされている人間類型だ。このような形だけの儀礼的適応(戦略)を行使し続けることで、自分の頭で考えない、周囲に機械的に合わせるだけの付和雷同型の人間ができてしまうことが懸念される。諸外国から称賛される、日本の整然とした教室空間の中には、このような『見えざる』病理が潜んでいる可能性がある。」
どうですか。冷静に考えると、この例に当てはまる生徒は、かなりの数に及ぶような気がします。「誰のせい?」と責任の所在を探しても堂々巡りで解決には至らないでしょう。
「自分で考える人」に育っていけるように、親やまわりの大人たちが、子どもたちや生徒たちにかかわらないといけません。どうかかわればいいのか?
それも、大人が自分で考えなければいけません。これには、一つの答えはありませんね。
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