とらばーゆ

時代の流れというか、必然というか・・・1980年、今から35年前の世論調査では、「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という考え方を女性の70%、男性の76%が支持するという、男女の役割は分業すべきという意識が根強く残っていたようです。


この時代は、今で言う「イクメン」のパパは、かなりの少数派だったと言えます。


当時の大企業の7割以上が、4年生の大卒女子の採用は行っていなかったそうで、大学4年生の就職内定率は、男子85%に対し、女子は30%という時代でした。


私が、社会人として働き始めた前年の1985年に、「男女雇用機会均等法」が成立しましたが、まだまだ、日本では、女性は結婚を機に寿退社というのが当たり前の風土でした。出産でなく、結婚というのは、社内男子のお嫁さん候補でなくなるので、退職しなさい・・・という、とんでもない女性軽視の日本の企業風土だったと言えます。


私の印象では、女性の社会進出へ、法律以上に大きく貢献したのが、「とらばーゆ」という女性専用の求人誌の役割が高かったと思っています。


「とらばーゆ」の意味は、フランス語で「働く」という意味だそうです。日本では、女性が転職することを「とらばーゆする」という、流行語にもなりました。


この「とらばーゆ」も最初は、女性=一般事務職(お茶くみ)という従来からの、日本の企業風土の壁に阻まれ、事務職の紹介が中心だったそうですが、自動車販売会社が初めて営業職の求人を載せると多くの応募が有り、採用された2人が数ヶ月で、営業成績のトップと2位になったそうです。


そんな評判を聞きつけた企業から、掲載依頼が舞い込むようになり、正社員で一般事務職以外の仕事にも女性が進出するようになったのです。キャリアウーマンという言葉も生まれましたね。


そして、女性たちが実際に活躍し、企業が業績を伸ばすことで、さらに求人は増えるという、まさに女性と企業を結びつけたのが、「とらばーゆ」でした。


保育園では、当たり前ですが、働くママが主役ですので、子育てもパパが活躍している場面をたくさん見ます。そんな環境ですから、「女性が・・・」という主語での会話は、少ないです。


日本が成熟社会と呼ばれる一つの課題は、いつか、男性とか女性とかという言われ方をしなくなることかもしれませんね。