老舗(しにせ)とは、「先祖代々にわたって伝統的に事業を行っている小売業などのこと」と定義されますが、「長くつづいたモノ」というのは、それなりのきちんとした理由があるので、大きな付加価値となりますね。
今日のテレビ番組で、北野たけしさんが、日本橋三越のデパ地下を散策していました。この三越は、まさに百貨店の老舗です。1673年江戸時代まで時はさかのぼり、「越後屋」として、世界で初めての「正札販売」を実現したことで有名ですね。今では、商品に値段がついているのが当たり前ですが、これによって、富裕層だけのものだった呉服が広く一般市民のものに広がったそうです。
実は、私が新入社員で、最初に配属となったのは、日本橋三越の食品売場です。当時は、デパ地下という言葉はありませんでした(笑)。そして、お客様も必ず「日本橋三越本店」という呼び方をされていました。「三越の本店」という重みは、今でも変わりないですね。1年間、販売の仕事をして、営業職に異動したのですが、数年後、それなりに営業マンとしての力もついて、日本橋三越や日本橋高島屋を担当させてもらいましたが、長く続いた百貨店としての「物言わぬ重圧感」は、今では懐かしい思い出です。
懐かしさついでに・・・・百貨店ではお客様の前でのスタッフの会話に隠語がいくつもあります。「今からトイレに行ってきます~」なんて決して言いません。「遠方(えんぽう)に行ってきます」と言います。
店内のBGMに「雨に唄えば」が流れると、「雨が降ってきたので、お客様のショッパーにビニールをかけなさい!」というスタッフへのメッセージとなります。
「中央区からお越しの○○様。お伝えしたいことがありますので・・・」というのは、店内放送に見せかけた、従業員呼び出しです。業務用の携帯電話がない時代のことですね。
「筆耕(ひっこう)さん」って知ってますか?今でも、仕事としては残っていますが、当時の日本橋三越では、筆耕さんが、壁面の「とらや」のバックヤードにデスクを持って、のしなどに筆で(筆ペンではありません)、名前などを書いてくれます。
完全包装も途中で仮止めのテープを使わず、最後の「三越テープ」1枚で包装する・・・お帳場カードという言い方で固定客専用のカードがあり、(今では百貨店のハウスカードやポイントカードは当たり前)お客様も、三越で買い物することにステイタスを感じ、働くスタッフも自分の仕事に誇りを持ち・・・まさにそれが「老舗」ですね。
今でも、私は、買い物をするのに一番楽しい場所は「デパ地下」です。1日ブラブラしていても飽きない空間ですね。
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