名古屋市東区の市立小学校で5年生の社会科の授業中、「イスラム国」に殺害されたと見られる湯川さんの遺体と後藤さんが覆面姿の男の隣でひざまずいた映像を、20代の女性担任教諭が児童らに見せていたことが、朝から大きな問題として取り上げられました。
市教育委員会が「不適切だった」と謝罪するように、マスコミからは、この教師は大バッシングです。おそらく、この小学校では、保護者説明会を開くなど大事になったことでしょう。
この女性教諭が、社会科の授業でテーマにしたのが、「情報化が進むことによる利点と問題点」です。東日本大震災後、見る人の心的苦痛を考え、津波の映像を流さない放送局もあったが、報道で支援が広がったなどと教諭は説明し、「どこまで真実を報道することがよいか」を議論させたそうです。
このブログでは、「けしからん!」とバッシングしても仕方ありませんので、違う観点で考えてみます。
子どもたちに議論させることで、自分の考えをきちんと言える、考える子どもに育てたいという教師のねらいがあったのでしょう。しかも、今一番世界で注目されている事件を題材に使う。
ここまでは、素晴らしい取り組みだと思いますね。社会科の授業で、アンチョコ使いながら教科書をそのまま教えるような授業と比較すると、教師の工夫が見られます。
しかし、この女性教諭が考えるべきことは、「対象が小学5年生であること」「ふさわしい内容の吟味」だったと思います。
「情報化が進むことによる利点と問題点」というテーマは、冷静に考えれば高校生レベルでしょう。そして、今回見せた映像の選択は常識的ではありません。
保育園の寺子屋では、園長が「よのなか科幼児版」として、子どもたちに、「よのなか」のことを教えて、子どもたちが自ら考える時間を作っています。テーマ作りは、前日にしっかり考えます。3歳児以上の幼児が対象ですので、あまり難しい内容では子どもたちはついてこれません。
今回は、教師の狙いはよかったのでしょうが、具体的内容に落とし込むモノサシに問題があったと言わざるを得ません。
今回の件で、全国の教育委員会が小学校や中学校教諭に「問題を起こすな!」と指導をすることによって、新しい、個性的な授業を行う先生が少なくなってしまうにでは・・・と思う次第です。解決策は私にはわかりません。モノサシの精度を高めるには、どうすればいいものか・・・考えさせられます。
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