みなさんが、中学高校時代に受けた歴史の試験問題について、少し思い出してください。
ここでは、私たちが知っているようなテスト問題とは異なった内容を紹介します。
『出題の中から2つの設問を選択し、それぞれの設問に関する歴史的出来事が20世紀にどのように展開されたかを論述せよ。』
テーマ群(戦争の原因、勃発、その影響)
1.第一次世界大戦における中央政権、もしくは第二次世界大戦における枢軸国の政権が敗北した主な原因を述べよ。
2.戦争が社会変革を加速させるという視点にどの程度賛成するか述べよ。
3.異なる地域で勃発した二つの戦争について、自国内と最前線とで展開された民間人による戦争への貢献について評価せよ。
4.ロシアの内戦、スペイン市民運動、中国の内戦の内2つを選んで、その内戦が起こった理由、影響、そして外国の関与について比較せよ。
5.『和平調停は新たな抗争の条件を整える』この発言について、どの程度同意するか、少なくとも2つの和平交渉を例に説明せよ。
これは、国際バカロレアが、高校3年の卒業前に実施する世界共通統一最終試験の歴史問題の一部です。今まで見慣れた( )に正しい答えを入れなさいという形式とはだいぶ違いますね。また、5問のうち、解答する側に2問を選択させる方式も、解答者の意志を尊重しています。
私たちの歴史の勉強は、「○○年に戦国大名が各地におこる。」だったり「○○年江戸幕府ほろびる・・・明治維新が始まる」などの、暗記を中心とした内容でした。今では少なくなりましたが、私の時代には年号が( )になって数字を入れる問題もたくさんありました。
「1192(いいくに)作ろう、鎌倉幕府」という語呂合わせなどは、年号を暗記する勉強の象徴みたいなものです。
よく、歴史は繰り返される・・・過去の歴史に学べ・・・などと言われることがありますが、暗記の勉強法では十分に学ぶことにはなりませんね。
当時の時代背景や例えば戦争になった原因、その影響がどのように広がったか、時の権力者はどのような考えを持っていたか。こんなところまで深く考える勉強をするなら、生徒は「二度と戦争を繰り返さないために私たちが、これから取り組むこと・・・」といった、過去の歴史から今後のあり方を考えられる大人になっていくのでしょう。
大人になって、自ら時代小説を好むようになるのは、ただの歴史的事実だけでなく、それを取り巻く人間関係だったり、時代背景を知る楽しみでもあると思います。
歴史の勉強が楽しくなるのは、こんな新しい教え方に変えていくことかもしれませんね。
歴女の皆様は、とっくにその楽しみを知っているのですから・・・
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