旅の足跡・・・23

西表島では1週間、ジャングルの中を縦断・星砂の浜でのんびり・名もなき鍾乳洞で冒険気分・・・今でも忘れられない思い出だ。

 

この時、鳩間島(はとまじま)からの旅人と話をした。西表島から船で30分もかからない所だが、毎日の出航便はなく、西表島から鳩間島へは月、水、金。鳩間島から西表島へは火、木、土しか船が出ない。

 

実は、昨年夏に、小笠原に行くか、鳩間島に行くか迷った。結局、家族の多数決で、よく知らない鳩間島より、世界遺産の小笠原となったのだが、近いうちに、必ず鳩間島を訪れたいと思っている。

 

今から30年前。鳩間島は、「子乞いの島」といわれた。たった一人の小学6年生が卒業してしまうと、小学生がゼロになり、廃校の危機となった。

 

学校がなくなれば、島もなくなる・・・島外から子どもを乞うて、学校を存続させようとしたのである。親戚の子を呼んだり、里親となったり、沖縄本島の児童養護施設の子どもたちを受入れたり・・・

 

「子乞い」という森口豁(もりぐちかつ)さんのドキュメンタリー小説に取り上げられ、テレビドラマ「瑠璃の島」として、放映された。ドラマでは、鳩海島とされ、「子乞い」の部分には触れず、島の自然が美しく描かれていた。

 

皮肉なもので、テレビドラマの影響で島への移住者もあり、人口は逆に増えることになった。30人を切る人口が、今では60人ほどになっているという。

 

もちろん、鳩間小学校も中学校も存続している。

 

島から、病院もなくなり、郵便局もなくなった。そして、学校がなくなれば、まさに、行政とのパイプが断たれ、島がなくなるという現実に直面する。

 

そんな状況での「子乞い」について、批判するつもりは毛頭ない。おそらく、日本の離島がかかえる共通の問題だ。

 

私たちは、どんな形であれ、学校に通う子どもたちが、元気にのびのびと成長してくれと願うだけである。

 

保育園という、子どもにかかわる仕事をしている今、近いうちに鳩間島を訪れたい。