西表島に、ガイドブックにも載っていない「鍾乳洞」がある。
もちろん、○○鍾乳洞などという名前もついていない。
鍾乳洞といえば、あの有名な秋芳洞やら、青い水が印象的な龍泉洞やら、遊歩道が整備され、ライトアップされたところにしか、行った事がない。
ここは、宿の人に教えてもらった。地元の人でも知らない人が多いという。
なんにもない、鍾乳洞というより洞窟であった。
ヘルメット・ヘッドライト・長そで長ズボンで、見逃してしまいそうな入り口から入る。ヘッドライトで、洞窟の中を照らす・・・そこに、骨が!?
野良犬の骨だ。洞窟の中は意外にも広い。いわゆる鍾乳石と呼ばれるツララがたれている。なかなか感動ものだ。
前に進むと、急に狭くなった。人一人通れるのがやっとのスペースを抜けると、今度は湖というか池というか、水たまりがあった。飲んで腹を壊してもかっこ悪いので、顔を洗うだけで、前に進む。
ヘッドライトを消すと真っ暗になる。洞窟探検は、思いのほか男の子の冒険心をくすぐる。
連れの同じ歳の野郎もかなり興奮している。彼とは、西表島縦断以降、行動をともにしているが、今日の予定は、朝起きたら決めるという点では、自分と同じ思考をもつ男だ。うまが合う。
約2時間。洞窟探検を満喫し、顔も服も土だらけになって、地上に這い上がった。
今でも、私のナンバーワン鍾乳洞は、西表島の名前のない洞窟だ。
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