西表島縦断で、とんでもない生き物と遭遇してしまった。
「ヒメハブ」・・・猛毒を持っている。
先頭を歩く私は、後ろを歩く仲間に「危な~い」の掛け声で、ヒメハブを踏んでしまう事態を間逃れた。
もし、踏んでいたら・・・?
実は、踏んだ本人ではなく、2番目に歩く人が噛まれるのだそうだ。夜行性のハブは、踏まれて眠りからたたき起こされ、「俺の睡眠を邪魔しやがって!」とちょうど、次の人に噛みつくのだ。
噛まれたら、ジャングルの中、救急車は来てくれない。ちょうど島の真ん中あたりだったので、生死の境目といった大事態になるところであった。
さて、けもの道の真ん中で、とぐろを巻いて眠っている「ヒメハブ」。どかせようと、長い木の枝でつついてみた。
しかし、逆効果。眠りからさめてしまい、かま首を持上げてこちらを威嚇してきた。これ以上接近するのは危険と判断し、藪の中を迂回して進む。
けもの道自体も狭いのだが、藪は深く前が見えない。手でかき分けながら、ようやくけもの道に戻った。
いつまでも続くジャングルに、飽き飽きしていたので、危なかったが、「ヒメハブ」との遭遇は、とてもインパクトがあった。
即席西表島縦断チームだったが、これを機に、急に結束力が高まった。ピンクの目印も慣れてきたせいか、余裕で発見できるようになった。
変なチームワークの強化がなされ、この後は、会話も弾み、残り5時間なんとかしのぐ事ができた。
しかし、整備された登山道ではなく、けもの道を10時間は、かなり厳しかった。リーダーを務めた、バリバリの山岳部出身の社会人も、かなり辛そうな顔をしていた。
ヘトヘトになり、ようやく島の外周の道路に到着した。
近くの公衆電話で、ユースホステルに「無事到着」の電話をした。もちろん、今から25年前は、携帯電話などない。
トラックが迎えに来てもらうまで、全員道の上に、大の字・・・
足が痛くなっていたので、靴を脱いでみた。
すると、靴紐の穴から、ヤマビルが侵入していた。足までは来ていなかったが、ヤマビルの生命力の強さに、畏敬の念を感じた。
最後に、リーダーが皆に問うた。「もう一度、西表縦断がしたいか?」
間髪入れず、全員「ノー」・・・
私も、1回限りのいい思い出でしまっておきたかった。
もちろん、人には「いい経験だから、一度はチャレンジしたらいい」とすすめているが・・・(笑)
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